





ユーザーの感想

「この世のものとは思えない美しさ」、小説などで人を虜にし、逃れられなくする物の怪によく書かれている言葉だ。この言葉、文字の世界で表すのはとても容易い、なぜなら人間の脳が想像によってその人の一番の美しさというものを勝手に生み出してくれるからだ。一方絵の世界においてその表現は限らなく難しいものと言えるだろう。ひとつの絵として形になった時点で誰かにとって最高の美しさとはなりえなくなるのだから。
ならばこの幽霊はどういうことなのだろうか。切れ長のその瞳でじっと見つめられた時のこの脳を撫でられているかのようなむず痒さは。その満足気な笑みから目をどうしても離せないのは。そして、彼が──しまうのも当然だと思ってしまうようなこの美しさは。そうか、この世のものとは思えない美しさとはこういうことだったのか。